ゴミからアートを作る社会活動家、長坂真護 サステナブルキャピタリズムとは?
i Museum:アートが彩る新たなキャンパス空間
2023年11月8日、iU 情報経営イノベーション専門職大学のエントランスホールに「i Museum」がオープンしました。i Museumは「教育×アートで未来を築く、どこにもないミュージアムをつくる」という独自のコンセプトのもと、学びとアートが交わる新しい空間を目指しています。第一弾として現代美術家であり社会活動家の長坂真護さんの代表作を含む10点が常設展示されています。
ゴミがアートに 言葉を超えたメッセージ
i Museumのオープニングイベントでは、中村伊知哉学長と長坂真護さんが登壇し、展示作品の舞台裏やそのストーリーについて語りました。長坂さんは、ガーナのアグボクプロシーでのプロジェクトに触れ、先進国からの電子廃棄物が集まるスラム街での自らの経験を共有しました。長坂さんは環境破壊に加担していることに気づき、電子廃棄物を利用してアート作品を作ることで、スラムの人々の人権と環境保護の問題を解決しようと志しました。
オープニングイベント 長坂真護氏とiU 中村伊知哉学長とのトークセッションの様子
長坂さんの取り組みは、単にアートを通じて社会問題を警告するだけでなく、「サステナブル・キャピタリズム」を体現しています。これは、文化・経済・環境の3つのバランスを取ることを目指しています。具体的には、電子廃棄物を使った作品を作ることで、環境問題を解決し、作品を販売して得たお金で現地にリサイクル工場を設立し雇用を創出することです。長坂さんは、2030年までにガーナで1万人の雇用を創出し、電子機器の墓場を公害ゼロのサステナブルタウンに変えることをコミットしています。
“電子機器の墓場” ガーナのスラム街・アグボグブロシー
©MAGO CREATION
中村学長も、アートがビジネスや社会に新しい価値を生み出す可能性に期待を寄せています。現代社会は新たな課題に直面しており、資本主義や民主主義の限界を感じる中、AIや新技術の進化が人類が解決できない問題を生んでいます。長坂さんがアートを通じて社会問題を定義し、それをビジネスや投資を通じて解決する手法に注目し、現代アートがコミュニケーションの手段として機能していることを強調しました。アートを通じて社会問題に取り組むことで、新しい価値観やイノベーションが生まれる可能性があると期待されています。
今後、i Museumではアーカイブとして3Dミュージアムの検討も進めていきます。これにより、より多くの人々がアートにアクセスできるようになり、オンラインでも体験できる場を提供していく予定です。また、第2弾展示も検討中です。新たなアート作品とその背後にあるストーリーを通じて、さらに多くの人々にアートの魅力を伝えていくことを目指しています。
展示情報とアクセス
- i Museum
- 住所:東京都墨田区文花1-18-13 iU情報経営イノベーション専門職大学内
- 開館時間:平日 9時~17時(休館日除く)
- 入場料:無料
※i Museum #1 長坂真護展は10月29日をもって終了となります。i Museum #2 にご期待ください。